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乳がん(浸潤性、ステージ2、リンパ節転移なし)の母、手術からの3年間を振り返ってみた。

入院
市川海老蔵さんの妻でフリーアナウンサーの小林麻央さん。進行性の乳がんで1年8ヶ月もの闘病生活を送っていることがわかりました。

大変ショッキングだったこのニュース。海老蔵さんの会見を聞き、入院日数や治療法が3年前に同じ乳がんを発症した68歳の母のものとずいぶん違うことがとても気になりました。

乳癌はステージ(進行具合)やタイプによって入院日数や治療法、その後の社会復帰なども違いが出てきます。

今回は母の乳がん発覚までの経緯初期症状治療法丸3年が経過した現在の様子などをご紹介したいと思います。

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健康診断でしこり発見、すぐに専門医のところへ

健康診断

母が乳がんと診断を受けたのは3年前の65歳。毎年行っている健康診断でのことです。マンモグラフィーと視触診を行ったところ、(触診を行った)医師が「あ!しこり発見!」とその場で言われます。

左乳房の下の方に約1cmほどのしこりを感知しましたが、母はその日までまったく気付きませんでした。そして痛みやただれ、乳頭分泌などの自覚症状もなく、自分が乳がんになるとは思ってもみなかったのでひどく動揺していました。

しこりはたぶん悪性のもの(=乳癌)だと思われると言われたためすぐに乳腺外科専門の病院へ。不安な日々を送るのは辛いので健康診断を受けたその日の午後に行きました。

しこりを発見してもどこの病院へ行けばいいだろう?と悩む方も多いかもしれません。

私はたまたま自分の脇の下のしこりで乳腺外科を受診したいと思い、近所で日本乳癌学会の乳腺専門医(認定医)がいないか探していたので病院選びに時間を取られることはありませんでした。

受診する場合は、上記の乳癌学会の公式ページが参考になると思います。

エコー検査でがん判明、悪性ならば「白」

超音波検査
乳腺外科での検査はまずエコー(超音波検査)です。しこり(腫瘍)が悪性のものか良性のものかを判断する場合、エコー検査では色で見分けます。悪性だと「白」、良性だと「黒」にうつり、母の場合は「白」で悪性とすぐにわかりました。

乳がんに詳しい先生だったので、エコーですぐ「あーこれは乳がんでほぼ間違いないでしょうね~」とあっさり告知されていました(汗

健康診断でまさかの乳がん発覚!

これだけでも衝撃で心と頭がついていけないのに、すでに悪性であることが前提でこの日に治療法や手術時期があれよあれよと決まっていきました。

クラスとステージを勘違い、おとなしいタイプのがんらしい

もちろんこれで確定ではなく針生検といってしこりに針を刺して組織を取り出します。この組織診でしこりの悪性度を判断します。結果が出たのは1週間後。結果は「クラス(Class)5」、悪性腫瘍でした。

母はこの結果で少しパニックを起こします。「クラス5」という数字を乳がんの進行度を示す「ステージ」と勘違いしてしまったのです。

このクラスというのは、1~5に分かれていて組織の悪性度を示すものです。「1、2」は良性、「3」は良性とも悪性とも判断がつかない(グレーゾーン)、「4、5」は悪性です。

「もう私の人生は終わった」と涙ながらに語る母。医師からクラスとステージは違うことを聞き、少しほっとした様子。

そして前回のエコーでも言われていましたが、「このタイプは比較的おとなしいもので手術したら良くなりますよ」と心強いお言葉をいただきました。

手術は2泊3日、元気に退院

手術

その後、治療方針や手術日が決まり、術前に血液検査や多臓器へ転移していないかを調べるCT検査などを行います。結果は異常なし。他臓器への転移は認められませんでした。

手術前の話ではリンパ節への転移がない場合は、手術後、30日間放射線治療を行い、その後5年間ホルモン治療を行うとのことでした。

初めての受診から約40日後、母の手術が行われ手術は無事成功。全身麻酔で手術時間は約3時間。心配していたリンパ節への転移もありませんでした。取り出したしこり(腫瘍)は約1.2cm、白っぽい塊でした。

全身麻酔からの覚醒はとてもだるさを覚えるらしくとても辛そうでした。しかし、手術はしこりと周辺だけをくり抜く乳房温存手術だったので、その後は回復は早く入院期間はたったの3日間。手術前に1泊、手術当日1泊して次の日には退院です。

こんなに早く退院していいの?とこっちが心配になりましたが、次の日の朝食から食事はとれていたので予定通りの退院となります。

4日後には仕事復帰、病理検査で浸潤がんと分かる

母は働いていたので退院後4日だけ仕事を休み、その後すぐに仕事復帰しました。周囲の人からも「大丈夫?」と心配の声をかけてもらったようですが、術後の回復は目覚ましく本当に乳がんの手術をした人なのか?と思えるぐらい元気でした。

そして術後3週間後に手術で取ったしこりの細胞を詳しく調べる病理検査の結果が出ました。

リンパ節への転移はなくホッとしましたが、しこりの大きさは1.2cmと比較的小さいものの、2mmほど周囲の組織に浸潤していたことがわかり「浸潤がん」ステージはステージⅡという結果に。

医師からは「非浸潤がん」だと思っていたのに「残念…」なんて言われてしまい、母は少々ショックを受けていましたが、悪いものは全部取ったのでもう大丈夫でしょうとお墨付きをもらい気を取り直していました。

働きながらの放射線治療、いつも通りの生活

手術の傷口は約3cmほどでしばらくは痛みやつっぱりがあったようですが、数ヶ月後には落ち着いていました。そして手術から2ヶ月後に放射線治療が始まります。

これは30日間、1日数秒ほど放射線を患部にあてる治療で、仕事も休まず通院で行っていました。放射線治療を行うと中には気分が悪くなるといった副作用も出るようですが、母はまったく普段と変わらない生活を送っていました。

ただ30日間、照射すると皮膚が赤くなってしばらくやけどしたような状態でした。かゆみもあったようです。しかし3年たった今ではその火傷の痕みたいなものも消え、傷口も小さくなっています。

ホルモン治療は5年間、出費が痛い…

自己負担
放射線治療が終わってからはずっとホルモン療法を行っています。これは女性ホルモンの分泌を抑制する薬を1日1回、5年間飲用することで再発防止を目指す治療です。

この薬で再発を阻止することは期待出来ますが、副作用として骨粗しょう症があるようです。ただ3年たった今の段階ではそのような症状も見られず予後は良好です。

しかしながらこのホルモン治療薬、結構値段が高いんです。1ヶ月で約8000円ほどする薬代がバカにならないといつも嘆いています。。

術後3年を迎えて。早期発見は大事!

乳がん検診

この7月で乳がんの手術を受けてから丸3年を迎えます。おかげさまで母は元気に過ごしています。

リンパ節や他臓器への転移がなかったことで抗がん剤治療をしなくて済んだこと、
がんのタイプが比較的おとなしいタイプ(活動性が低い)だったこと、

これら2つの要素が重なって入院期間も短く、その後の社会復帰もし易かったのではと思います。

とは言え、「浸潤がん」ということでもし3年前に健康診断でしこりが見つかっていなかったら…。確実に今とは生活状況が異なっていたことでしょう。

小林麻央さんの病状を聞くと長い闘病生活でとても胸が苦しくなります。進行性の乳がんとはいえ医学は進歩していますし乳がんの5年生存率は上昇しています。何とか抗がん剤が効いて手術できることを心から祈って。

そしてこの記事を読んでくれている皆さん、ぜひ乳がん検診へ行って下さい!早期発見であればあるほどその後の治療期間や体への負担が少なくなります。

乳がん検診でマンモグラフィーよりもエコーを勧められた2つの理由

自分で毎日胸を触ったり、鏡を見てひきつり(ひきつれ)や上下の高さが違っていたら放置せず病院へ行きましょう。乳がんはセルフチェックで唯一分かるがんだとも言われています。

自覚症状がある場合は医療保険の適用で検査が受けられることもあるので費用負担も軽めです。早めの受診をおススメします!