【犬のメラノーマ】放射線治療の効果と費用について、飼い犬は効果あるも完治には至らず
2021年4月、飼い犬がメラノーマを発症し、外科手術・抗がん剤治療・放射線治療を行いました。
今回は放射線治療の効果と実際にかかった費用について書いていきます。
放射線治療を行うまでの経緯
メラノーマとわかるまでの経緯はこちら。
飼い犬は埼玉県所沢市にある日本小動物医療センターにお世話になりました。
関連リンク:日本小動物医療センター
初診で全身のCT検査などを行った後、手術と放射線治療の2つを提案されました。
この時は積極的な治療を行っていきたいと考え、私は手術を選びました。
術後、補足的な抗がん剤治療を行い、数ヶ月様子を見ていましたが、メラノーマが鼻腔内に再発。
もう根治は期待できないものの鼻血をとめてQOLを維持したいと思い、放射線治療をお願いしました。
放射線治療の内容
日本小動物医療センターで放射線治療を受けるにあたりまず放射線治療科の獣医師による説明を受けます。
※ちなみに日本小動物医療センターはかかりつけ医の紹介により受診することができました
説明内容はこんな感じです。
★放射線治療=局所治療
ターゲット:原発+左右下顎リンパ節+患側内側咽頭後リンパ節
少分割放射線治療:8Gy×4、あるいは6Gy×6
トモセラピー(CT型治療装置)IMRT(強度変調放射線治療)
放射線治療による治療実績
局所制御率、生存期間は外科手術と同等
生存期間:ステージに依存
ステージ1(腫瘍サイズ2cm以下、転移なし):約2年
ステージ2(2~4cm、転移なし):約10ヶ月⇒1年を目指す治療
ステージ3(4cm以上 or リンパ節転移あり):記入なし
ステージ4(大きさに関係なく、リンパ節転移・遠隔転移あり):記入なし
週1回の照射を4回実施 or 6回
メリット:腫瘍縮小が期待できる、出血の抑制、疼痛緩和
デメリット:複数回の麻酔が必要となる、放射線による副作用が起こる
★方法(流れ)
固定具作成⇒CT(MRI)撮影⇒治療計画作成⇒治療計画検証⇒放射線治療⇒治療後は定期的に再発・副作用の経過観察、転移確認の画像検査
★副作用(放射線が照射される部位にのみ生じる)
脳炎、脱毛、ただれ、びらん、ドライアイ、角膜炎、結膜炎、眼瞼けいれん、白内障、口内炎、歯肉炎、口鼻漏(こうびろう)、鼻炎、くしゃみ、鼻づまり、鼻出血、鼻汁
その他、麻酔によるリスク(寝る時間が増える、腎・肝・心機能低下・白血球減少・死亡)
★費用
約60万円(CT/MRI撮影、固定具作成、治療計画作成、治療計画検証、放射線治療4回、麻酔4回の費用が含まれる)
別途かかる費用:血液検査、内服薬、処置、消費税など
増感剤を使用する場合は1回あたり28,000円
放射線治療を行った結果
飼い犬はメラノーマ再発後、症状がみるみるうちに悪化していったこともあり、先生の取り計らいで開始日を早めてもらいました。
本来だと説明を受けてから1~2週間後に固定具を作成し、さらにその後に放射線治療が始まるのですが、できるだけ短縮してもらいました。
2022年2月中旬、メラノーマ再発判明
2月下旬、放射線治療開始(1回目) 増感剤なし
3月上旬、放射線治療(2回目、3回目) 増感剤あり
※すべて全身麻酔
※ウニの成分を活用した増感剤を使うことで効果がアップするそうです
当初、放射線治療は4回の予定でしたが、飼い犬の全身状態が悪化し4回目の治療は残念ながら受けることができませんでした。
飼い犬は4回目の治療予定日の2日後(3月中旬)に亡くなりました。
ですが、3回の治療だけでも鼻腔内を占拠するぐらいひろがっていたメラノーマが小さくなり、鼻血やくしゃみも出なくなりました。
亡くなる数週間前までは鼻が楽になったせいかごはんもよく食べていました。
また放射線治療をやってよかったなと思ったことは、顔面変形や目玉突出などなくきれいな顔で最期を迎えられたことです。
飼い犬も鼻血やくしゃみが止まらないときは辛そうで、痛みもあったのか身体も震えていたので、放射線治療はQOL維持のためには効果あったと思います。
ただ、放射線治療は全身麻酔が必要なため腎不全を患う飼い犬にとってはやはり負担が大きかったのかもしれません。
あの時ああしてればよかったとか今更振り返っても仕方ないのですが、メラノーマが最初に判明したときに外科手術を選ばず、放射線治療を選んだ方が本人の負担を軽くすることができたのではないかなとも思っています。
放射線治療に実際かかった費用
放射線治療は聞いていた通り高額です。
放射線治療3回で実際にかかった費用は次の通り
- 1回目119,547円
- 2回目138,654円(増感剤あり)
- 3回目153,675円(増感剤あり)
合計 411,786円
私はアニコムのペット保険に加入しているので、1日あたり14000円の保険適用があります。
保険適用でなければ上記費用にプラス52000円です。
まとめ
メラノーマは放射線治療と相性がいいと聞いていましたがそれは実感しました。
飼い犬は本当によく治療をがんばってくれました。
うちの場合は完治には至りませんでしたが、日本小動物医療センターの放射線治療でこれまでに900日以上の生存期間を維持できたという実績もあるので放射線治療で多くのワンちゃん猫ちゃんが救われることを願っています。